2023年度 Webシンポジウム「高齢者と金融取引の現代的課題」
2023年度 Webシンポジウム
「高齢者と金融取引の現代的課題」
◆シンポジウム概要:
1.開催趣旨
モデレーター:澁谷彰久(山梨県立大学名誉教授)
2.基調講演
テーマ①高齢者の金融取引に係るトラブル-全銀協ADR紛争事例から
報告者:大野正文氏
(全国銀行協会金融ADR部あっせん委員会事務局審議役)
テーマ②「それは、私のお金です!」生活支援と暮らしの中での金銭管理
-社会福祉士の視点からの現場報告
報告者:二塚 綾氏
(甲府市社会福祉協議会・社会福祉士)
テーマ③高齢者向け金融商品と金融サービスの課題
-2023年ドイツ世話法の改正を手掛かりに
報告者:八谷博喜氏
(三井住友信託銀行専門理事・中央大学研究開発機構 教授)
テーマ④高齢者預金の払出しにおける代理等に関する問題点
報告者:福田智子氏(茨城大学講師)
3.ディスカッション
司会:澁谷
参加者:上記基調講演者4名
・時間によりフロアーとの質疑応答を設ける
◆主催:地域アカデミア研究実践機構
◆開催日:2024年3月17日(日曜日)
◆開催時間:13:00〜16:00(受付時間12:30〜)
◆開催場所・形式:zoomによるオンライン形式
*現在このシンポジウムの動画配信を行っています。
◆参加費:無料
◆定員:90名(先着順)
◆申込方法:下記参加申込フォームにより事前登録
■シンポジウムの趣旨
高齢者や意思能力、身体能力の減退により十分な金融サービスを享受できない場合、金融包摂の確保が従前より指摘されてきた。また、成年後見制度や信託制度を用いた多くの金融商品・サービスが検討、提供されてきているがそれらの多くが顧客のニーズに十分応えているかが課題となっている。このシンポジウムでは最新の金融動向を制度面、実務面から研究者、実務家、顧客の立場から多角的に議論し、その方向性について検証してみたい。
■基調講演の概要
テーマ①: 高齢者の金融取引に係るトラブル-全銀協ADR紛争事例から
報告者:大野正文(全国銀行協会金融ADR部あっせん委員会事務局審議役)
概要:
老後生活のための金融資産形成、相続税対策等、高齢者の金融取引へのニーズは拡大しており、それに合わせて、金融機関も様々商品、サービスの提供を行っているが、他方で、高齢者の金融商品・サービスに係る理解度、ニーズとのアンマッチ、取引当事者死亡の相続人との利害対立など、高齢者をめぐる金融取引に係るトラブル、紛争も少なからず生じている。ここでは、全銀協ADRにおけるあっせん申立事例の中でも件数の多い高齢者の事例、特にリスク性商品の販売事例を参考に、高齢者取引の問題点、紛争解決おける指摘事項などを紹介し、高齢者取引における顧客本位の対応のあり方についてお示ししたい。
テーマ②: 「それは、私のお金です!」生活支援と暮らしの中での金銭管理 -社会福祉士の視点からの現場報告
報告者:二塚 綾(甲府市社会福祉協議会・社会福祉士)
概要:
ひとの生活は、いろいろな要素で成り立っているが、切っても切れないのが「お金」である。
私たち社会福祉士は、人々の地域における暮らし、すなわち「生活」を支援する仕事をしている。この仕事で切っても切れないのも「お金」である。
暮らしは人それぞれであり、その人なりのやり方で環境や社会と折り合いをつけながら、現在まで続けてきている。この、連続していることに自称「支援者」が介入するとき、本人の気持ちと「支援者」の気持ちのせめぎ合いが起こる。
高齢者や認知症等の患者さんとそのご家族や支援者が、日常生活の中で遭遇する様々なお金に関する問題、課題を具体的な相談事例を通じて考えてみたい。
テーマ③: 高齢者向け金融商品と金融サービスの課題 -2023年ドイツ世話法の改正を手掛かりに
報告者:八谷博喜(三井住友信託銀行専門理事・中央大学研究開発機構 教授)
概要:
日本では世界で類例を見ないほどの高齢化が進展しており、高齢者の財産管理および身上保護に関する法的な支援システムを整備することが急務である。
高齢者の財産管理においては、2000年の民法等の改正により導入された成年後見制度(とりわけ任意後見制度)と、同様に自己決定の尊重に理念に置く信託制度が有効な対策となりうる。信託においては、財産権の移転により名義を受託者に移転することによって、民法の制度では実現できない本人の意思凍結という転換機能を生じさせることができ、高齢社会における有効な財産管理の手段と考えられている。
現状、日本では任意代理を活用した金融取引が主に検討されているが、本人の能力制限をともなう代理意思決定を問題ありとする世界の潮流に反し、また、障害者権利条約の日本の評価に対し無頓着である。2023年1月に施行されたドイツの世話法改正の理念とその動向に着目し、日本の法的課題を考えていく。
テーマ④: 高齢者預金の払出しにおける代理等に関する問題点
報告者:福田智子(茨城大学講師)
概要:
2020年8月に公表された「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書-顧客本位の業務運営の進展に向けて-」では、高齢顧客に対する顧客本位の業務運営の必要性が取り上げられ、金融取引の代理等のあり方や金融機関と福祉関係機関等との連携強化などの提言が示された。その後、全国銀行協会により金融取引に関する考え方が示されるなど、現在様々な取組みが進められている。そこで本講演では、報告書等を参考に高齢者預金を親族等が代行払出しすることに関する問題点について検討する。
■地域アカデミア研究実践機構とは
本組織で開講する市民講座は、今まで多くの大学などで行われてきた公開講座や資格取得講座とは異なり、地域の自治体や企業と連携した多様な学びの場を提供します。また、個別テーマについて今回のような開かれたシンポジウムの開催も企画しております。
原則、全ての講座はオンラインで配信しますので、受講生・参加者はいつでも、どこでも時間と場所の制約を受けることなく履修するような仕組みを作り上げます。講座内容は、地域課題の解決や知的好奇心を刺激するものを精選し国内外の大学研究者、実務家、専門家が丁寧にわかりやすく講義を行います。詳しくは当HPにて過去の講義や事業内容などをご覧ください。
【主催者・モデレーター】
「地域アカデミア研究実践機構」
澁谷 彰久
代表
※ 受付完了後はお申し込みいただいたメールアドレスに自動的に「受付完了」メールが送信されますので、メールアドレスはお間違いのないように入力してください。メールが届かない場合は、迷惑メールになっていないかをご確認のうえ、下記お問い合わせ先まで必ずご連絡ください。
◆問合せ先 : 地域アカデミア研究実践機構 Tel :050-3479-1511 E-mail: academia@civ-academia.org
◆講座の視聴方法 : 申込締切後、zoomへの接続URLをメールにてご連絡いたしますので、そちらからアクセスして下さい。
【注意事項】
(1)本講座はオンライン講座です。パソコン、スマートフォン、タブレット端末をご用意の上、Wi-Fi環境をご利用ください。
(2)本講座の受講は、事前にお申し込みされた受講者のみ可能です。受講者には各講座の開催前日までに動画視聴のアクセス用URLをお知らせします。
(3)各講座ごとに、申込期間・期間等が異なりますので、ご注意ください。
(4)お申し込みいただいた個人情報は、適切な方法で管理し、今回の公開講座に使用する以外の目的での使用並びに第三者への提供及び開示は行いません。